村田諒太の試合後に見せた姿勢から学ぶべきこと
2017年5月20日、WBA世界ミドル級王座決定戦でロンドン五輪金メダリストで同級2位の村田諒太(帝拳)が、同級1位で元世界王者のアッサン・エンダム(フランス)に不可解な判定で敗れた。
ジャッジ3人の採点はパナマのパディリアが111-116、カナダのアールが112-115でエンダム、米国のカイズJrが117-110で村田とし、3人のうちカイズJrだけが村田を勝者とする採点だった。
『村田の所属する帝拳ジムの本田明彦会長は判定に対する怒りを口にした。「ひどすぎだ。負けは絶対にない」と声を荒らげた。
また、試合後は観戦した世界のボクシング関係者から「村田が取られたのはせいぜい1、2回だけではないか」といった声が上がったといい、
「(エンダムを支持した)あの2人以外、誰に聞いたって全員(村田の)勝ちだと言っていた。」
チャンピオン経験者も。
現役チャンピオンの山中慎介(WBCバンタム級を12度防衛中)は、「ジャッジに対してショック。何を言ったらいいか分からない。村田はしっかりブロックして、自分の良さを出せていた」と話す。
また、元世界スーパーライト級王者の浜田剛史は「採点にはびっくりした。村田はこれ以上ない出来だと思っていた。エンダムは手数が多かったけれど、村田はしっかりブロックしていた」と。
一般の視聴者もネット上で同じ意見が続出。
◎なんで?あんなに村田は相手を追い詰めていたのに! 絶対!納得いかない!
◎本当に理解できない。有効打ほぼ無くて手数だけで判断なんてアマチュアと変わらんわ。
◎あれは、なんて言えばいいのか。ボクシング史に残る疑惑判定。どう申し開きしても理解不能。WBAの見解が、早く聞きたい。日本の宝が傷つけられた。
◎ガードの上から、へなちょこパンチを当ててたら、ポイントになるんだ。WBAって、ダサいね。
◎本当に理解不能。お金のやり取りがあったとしか思えない
◎今日の審判はボクシング界から永久追放に値する!
◎ダウン取るより、手数ですか。世界中のボクシングファンを敵に回してどうするのWBA
◎プロボクシングだろ!手数より有効打に決まってる。相手のパンチほとんどガードして有効打で圧倒、これで負けたらどうやって勝てって言うんだよ!
◎ボクシングを目指している若い人達も、モチベーション下がるだろうな、結局は、今の時代になって、ボクシングの闇の部分を見せられても、理解できないよ! などなど。
今回の採点については、また改めて書きます。WBAの採点基準が他の団体と少し異なっていたり、過去に色々と問題があったり、で、今回は村田もわかっていながらWBAに挑戦するしかなかった事情も色々とあったので。
こんな疑惑の判定へのブーイングの嵐のある中で、当の本人、村田は違っていた。
試合直後のインタビューでは「判定は第三者、プロフェッショナルであるジャッジが決めることで、僕が何か言うことはない」と淡々と答えた。
翌日フェイスブックでは
「多くの方に応援いただいたのに、勝つことが出来ず申し訳ございません。勝ってた負けてたはジャッジの仕事なんで、受け入れるしかありませんそれがアスリートの役目かと思っています。少し休んでこの先のことは考えます。応援ありがとうございました。負けてすみません。村田諒太」と。
さらには、対戦相手のエンダムとの2ショット写真を掲載。
「エンダムと話してきました。大切なことは、2人がベストを尽くしたこと、日本に来てくれて感謝していると伝えました。エンダムとエンダムのスタッフ達にも感謝いたします。ありがとうございました。」
素晴らしいよね。成功する人がもつ共通の姿勢。
事実にどう向き合うか。どう捉えるか。
環境や他人のせいにしたり、条件が揃っていないことのせいにしていない姿勢。
何があっても、人のせいにしない。
そうすることで自分にまだやれることがあったはずと考えられるようになる。
その姿勢があるからオリンピックの金メダルも取れたのだと思う。
これからまだまだ強くなりたい、成長したいということで生きてきた、彼の物事に対する考え方の特徴なのだと思う。
この村田の姿勢に対して、こんな意見があった。
「今まで世界戦に勝つために練習してきてそんな綺麗事で良いのですか?本田会長も言っているように、こんなことを認めていたらボクシングは人気もなくなりスポーツとしても認められなくなります。今回の判定は村田選手だけの問題でありません」
これにどう答えるか。
この方の言っていることは十分わかる。
しかし、こういう不利益を被った時、相手や環境などのせいにせずに、自分がやれることに注力するという姿勢をどんな時も一貫して持ち続けることが成功者、また成長する人間にとって大事な姿勢だと確信している。
自分自身がもっと手数を出して、安心せずに倒しにかかるべきだった。
もっともっと練習して圧倒するだけの力をつけるべきだった。。。など
自分自身の反省点を踏まえて、自分の今後やるべきことだけに集中することが大事だ。
ものごとの本質的な解決とは何か?
WBAの体質を変えることではない。
今の自分に足りなかった所を更に強化することだ。
有無を言わさない位、強くなること。
今回は、あまりにもひどいし例外的に主張すればいいじゃないかという意見もあるかもしれない。
しかし、やはり一貫することが大事だ。この姿勢を徹底するから成長する。
多くの方々が、判定はおかしいと主張し、なんとWBAの会長までもが判定は間違っていたとして謝罪している。それでも、自分に改善すべき点はなかったのか?自分のせいだと素直に認めることこそ成長、成功する人の姿勢だと言わんばかりに、村田を諌めた人がいる。
日本で唯一の元ミドル級世界チャンピオン竹原慎二だ。
『敗因については手数が少なすぎたこと。何があるか分からないのが世界戦。
最後まで倒す気持ちでいってほしかった。この最大のチャンスをものにできなかったことを非常にもったいないとも思った。
僕は勢いで世界を取ったけど「敗けは死じゃ」という強い気持ちがあった。
その気持ちがあったかどうかは村田本人しか分からない。
ただ、終了ゴングが鳴るまで倒しに行くという気持ちがなければ
いけないなと思ったのが正直な感想だ。』
ジャッジのこと、対戦相手のこと、主催団体のことなどを一切言わず、今後もしボクシングを村田が続けるなら、“ここに力を注げ”、“お前にはここが足りなかったんだぞ”と日本で唯一ミドル級のベルトを巻いたことがある竹原が言っている。
この意見こそが正しい。
そして重量級で唯一日本で世界を獲ったことがある漢が言う言葉には説得力がある。
今回の疑惑の判定については周囲にたくさんの利害関係者、ジム会長、プロモーター、日本ボクシング関係者、さらには世界中のマスコミやWBAの会長自身がおかしいと言ってくれている。それで十分。
もし、村田が再度世界に挑戦するなら、環境整備については周囲が行い、彼は自身の反省点を踏まえ、更に能力やマインド、技術を高めて確実に良いパフォーマンスを発揮するはずだ。
※このブログのアップの後に村田がテレビで語った物事に対する捉え方は予測のとおりだった。
その記事も併せてどうぞ。