わかりやすく説明するための3つのステップ
難しい言葉をどう理解させるか
ここでは、難しい言葉や考え方をどのように聴き手に理解させるか
のポイントをお伝えします。
一昨日、函館のある団体から依頼を受け、改正民法の概略とポイント
についてお話しをしてきました。
120年ぶりの民法改正。2020年4月1日から新民法になります。
ビジネス的に変更点もかなりあり、法務的な仕事の方はもちろん、融資関連、また取引上連帯保証人を取ったりする方にとっては、しっかりと学習する必要があります。
既に法律は交付されていて(2017年6月)、昨年末に交付時期も2020年4月1日と閣議決定されました。
例えば、これまでの慣例に則った連帯保証契約を交わした場合、2020年の3月31日の時点での保証契約は問題なくても、1日ずれ込んだ翌日の保証契約は無効になります。
この保証に関する1つの重要な改正点を、社会経験はあるが、
法律に詳しくない方に対してどのようにお伝えすればい良いか。
採り上げるのは、こんな条文です。
民法465条の6
「1 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前1箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。・・・・・・・・・・・・・
3 前2項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない」
難しいですよね。
理解に必要な3ステップ
これを法律に馴染んでない方に説明するためには、何が必要か?
自分は、最低3つのステップがあると思っています。
1つ目は、抽象的、わかりづらい言葉を噛み砕き具体的なイメージを持たせます
(設例を設定する、動画、絵、図解、馴染みのあるものへ引き直す作業)
2つ目は、前提知識が無い場合は伝えます
(これは、法律の話だけではなく、学生にマネジメントを教える、
金融商品のことを教えるなど対象者の経験の不足を補う場合には必須となります)
3つ目は、最終的に結論(やポイント)を伝えます。
(あるいは、最初に提示した抽象的、わかりづらい言葉を再度伝えます)
以上の3点です。
具体的な3ステップの例
先程の小難しい法律については、以下のように説明します。
【ステップ1】
抽象的でわかりずらい条文を、具体的なイメージを持たせる。
♦事例を設定し馴染みのある具体例と提示します
『㈱杜撰の出鱈目(でたらめ)社長は、甘汁商事㈱(担当:亀津伊佐男=がめついさお)から事業資金として500万円を借り入れることとしました。そして、㈱杜撰(ずさん)の出鱈目社長は、友人である甘井好人(あまいよしと)にこの借金の連帯保証人を依頼しました。その結果、甘汁商事㈱と腰抜との間で連帯保証契約が交わされました。この連帯保証契約は有効でしょうか?(これまでの慣例通りの連帯保証契約書を使用)』
♦少しイメージは湧きますが、さらに図解します。
これにより、かなりイメージが膨らむと思います。
【ステップ2】
■保証とはどんなことなのか・・・・・
■連帯保証とはどんなことなのか・・・
■債務者(主たる)が返済しない場合、
連帯保証人はどんな憂き目に会うか・・・・安易に保証契約に応じ、後で泣きを見る人が多いという状況が問題になっています。
などの前提知識を説明します。
【ステップ3】
最後に、甘井さんのような人のいい方が後で泣きをみないように、
♦事業資金の保証を
♦個人がする場合
♦公正証書による意思の確認
が必須となり、今までのように連帯保証契約書だけを交わした場合、
その契約は無効になるという、結論(ポイント)を指摘します。
最後に
(1)実は、保証実務にはかなりインパクトのある内容の改正です。
法律実務的に携わる方は是非知っておいて欲しいということ。
(2)そして、わかりやすく説明する際の流れ、の3ステップ
①具体的イメージ⇒②前提知識のフォロー⇒③ポイントの明示
大きく、2点、
是非、押さえておいてくださいね。